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手乗り龍のしつけ方 第五話 60%の笑顔

2009-08-09 | 13:23

ここに掲載されている物語は完全なるフィクションであり、実在するいかなる個人、団体とも関係ありません。

 

手乗り龍のしつけ方

第五話 60%の笑顔

 

 

 

 

60%の笑顔は知的に見えるそうなの」

 

それでか、最近、頭がままならない残念な娘という評価が固まりそうだから。

ニアが鏡に向かって半笑いしてるんだけど・・・

顔面左側だけ笑顔つくったり、右側だけ笑顔にしたり・・・

60%っていったら鼻筋よりちょっと向こう側まで入るわねとかいいながら。

 

60%は程度のことをいっているので、顔面の表面積のことではないのですが。」

 

「さすが姫なの。姫なら60%の笑いを体得できると思うの。」

 

「どちらにしろ知的には見られないわね。」

 

さっきから何をしているかというと、覚醒の儀の事前チェック。

ペーパーテストをしているんだが、問題はこの世界の常識クイズで・・・異世界の常識を俺に問うて意味があるのかな。

もう一人の俺にバトンタッチ・・・してもしょうがないな。

これが終わると、体中のサイズを測られる。

なんでも、手乗り龍を覚醒させると強力な術力の解放が起きる。勢い、体のどこかに龍身が宿る可能性が高くなる・・・そうだ。

普通の龍ならそこまでの心配はいらない。

手足がちょっと長くなるとか、一重だったのが二重瞼になるとかの地味な変異が起きる程度で龍の体への置き換えは起こらない・・・らしい。

まあ、なんにしろ、それが皇族にではなく、ツガイである俺の側にしか起こらないのが不公平すぎる。

ニアだと角なんかが似合いそうだけど。

つまりは、変異が起こったことを早期に把握するため、事前にデータをとっておいて、覚醒の儀の後と比較できるようにすることが目的なんだそうだ。

本当に意味があるのかな。見ただけでわからない変異なら影響もたいしたことないだろうし。

 

「龍心が宿った場合は、みかけじゃわからないわよ。

 それに変異が脳に出た場合は、凶暴化する場合もあるから」

 

人を殺すのが常識になってしまう場合もあるというわけか。で、そうなってしまったら・・・

 

「当然、処分ですね」

 

「ザ・ン・ネ・ン・な・の」

 

ミュウが刃物を砥ぎながら言う。どうやらさっきの輿の中で枕がわりにしたことを逆恨みしているようだ。

枕としては硬くて寝づらかったのだから、こっちが恨んでいいんじゃないかな。

 

「ミュウの胸は同世代では発育のいい方なの。

 硬いなんて虚報を流さないでほしいの」

 

胸だったのか。キティやニアと比べたら、憐れなくらいのボリュームだしな。

 

「寝子よりましなの」

 

俺は男だぞ。

 

「まあ、まあ、それくらにしなさい。

 急がないと、そろそろ儀式の時間だから」

 

表面積54%ぐらいの笑顔で言うニア・・・本当に体得しそうだな。

 

サイズを測るシーンは割愛させていただきます。

龍神官のお姉さま方まで来て、みんなで俺を素っ裸にして、本当に体中を測っていただきました。

自分で測れる所まで・・・ボウチョウ後まで測るなんて・・・もうお婿にイケナイ

 

 

「まあ、まあ、どうせアンタはワタシのツガイなんだし」

 

表面積58%ぐらいの笑顔で言うニア・・・もうすぐ60%の笑顔の完成かな。

ちょっと頬を赤らめてる所がかわいいけど、目がギラギラして怖いな。

 

カシャ、カシャ、カシャ

さっきから激写しているカメラの音が煩い。

 

床に落ちていた下着を拾って穿こう・・・バシッ

・・・としたら、叩き落とされた。

 

カシャ、カシャ、カシャ

カメラ娘が正面に回り込んで激写・・・ちょっとポーズとろうか

 

ミニ撮影会が終了して、ほんのり頬を赤く染めた龍神官のお姉さま方に先導され、神龍神殿本宮の大広間へ。

半径3メートルほどの円の真ん中に俺とリトとニアが立ち、その周りに龍神官が並び立つ。

龍爪の神官と龍牙の神官と龍眼の神官が前に出て祝詞をあげる。

 

不思議な節、不思議な詞。

体の中に詞が入り込んで作りかえられていくような、そんな不思議な感じ。

リトの小さな体が光りだし、大きさと形を変えていく。

そういえば、龍側に変異が起きるとは聞いてなかったけど、どうなんだろう。

 

祝詞が終わり、光が消え、静寂が広間をおおった。

 

 

ふふふふっ

ほほほほほ

はははははっ

「これは慮外」

「これは限外」

「これは望外」

 

「人の仔に龍身が拠らずして」

「龍の児に人身が現るとは」

 

リトが12歳ぐらいの女の子になったんだけど・・・

俺は一切変わらず。

もちろん、ニアの頭にも角が生えてきてない。残念だ。

 

「マ~マ」

 

リトが俺に飛びついてじゃれてくる。

金色の腰まである長い髪が揺れて俺の髪に絡みつく。

ちょっとふくらみかけの胸が俺の腕にあたって・・・うむ

人身を得たリトは、胸がつつましやかで、目がぱっちりして、声がアニメ声で・・・つまりは俺の好みにジャストミート。

しかし・・・

 

「リト、ママはワタシでしょ」

 

そう、俺は男なので、強いて言えばパパなわけで。

 

「つーん」

 

ニアを無視した風に顔を背けるリト。

 

「ワタシがママよ」

 

「つーんつーん」

 

「寝子はパパでワタシがママで

 アンタはワタシ達の娘なの」

 

「ニア嫌い」

 

「・・・」

 

「教育ママは子供に嫌われるの」

 

「自分が可愛がられまくられていただけに、叱りつけるのにためらいがあるわね」

 

「というより反応できなくてフリーズしてますね」

 

 

「リト、ニアがママだと嫌かい?」

 

嫌だと言ってもらえれば、このまま帰還しても角がたたないよな。

 

「・・・嫌じゃない

 ごめんなさい、ニアママ」

 

涙がこぼれそうになっている。素直な良い子だ。

残念だが、角が立つ帰還を図るしかないか。

 

なんか背中がまたムズムズする。

 

「ニア、背中かじって」

 

「またなの?

 ほら、背中だして」

 

「惟は」

「・・・之は」

「・・・・・・是は」

 

背中にまた噛みつこうとしているニアの周りに三人の龍神官が集まってきている。

 

「鱗ですよね」

 

「虹色の鱗ってみたことないの」

 

キティとミュウも顔をよせてくる。

 

 

「「「此は、逆鱗」」」

「逆鱗って・・・まさか」

 

あむ

 

なんの迷いもなく、背中をかじらないで(背中をひっかかないで)噛むニア。

 

儀式の光とは比べ物にならないほどの光の洪水がわきおこる。

俺の背中を中心にして広がっていく光が神殿の柱に触れると、その柱が消えた。

どんどん光が広がり、神殿を侵していく。光が触れた壁も柱も消えていく。

ただ、龍神官の周りには光の障壁がはられており、ニア達もその中に入っているので、

人が消えたりはしていない。

 

光の膨張は止まらない。

神龍神殿本宮全体を光が覆うと、地下から突き上げるような咆哮が。

 

咆哮を合図のように、光が収束して龍の形をとりだす。

現われたのは虹色の龍。

 

俺の視点が高くなっている。

眼下に広がる樹海が小さくなって・・・俺が龍になっている。

背中ではしゃぐ声を感じる。

 

「ネコママすご~い

 

猫飯(ネコマンマ)みたいな言い方だな。

というか、リトの覚醒を図る儀式で、なんで俺が龍化したんだ。

 

地下からの咆哮が激しくなっている。

もしかして・・・

 

「然り」

「封印が弛み」

「教祖様、始原の龍が目覚めます」

 

ぷかぷか浮かぶ光の泡みたいに光の障壁をまとった三人の龍神官が言う。

 

一際たかく咆哮があがり、とてつもない力がこちらに向かってくる。

で、武器とか防具は・・・ないよね。

 

「龍の美力は意志の力」

「籠める意志が刃となりて敵を切り裂き」

「篭める意志が盾となりて悪意を弾くのです」

 

ようするに・・・こうか

 

があっつつつつ

 

虹色の炎を咆哮に向けて吐きつける。

 

咆哮が苦鳴に変わる。

神殿の地下、床が消えて石畳も消えた後の土壌が膨らんで、爆発的に吹き上げてくる。

苦鳴がますます強くなる。虹色の炎を強くする。もう少しで・・・

地下の始原の龍の力が一瞬膨らんだと思ったら、それが八方に散っていく。

 

「逃げました」

「八つ身に分たれ」

「恨みを持ち」

 

で、俺はどうすればいいの。人に戻れるのかな。

 

「ネコママ、戻りたいの?」

 

リトが俺の背中から首筋にのぼりながら聞く。

 

それはそうだ。このままだと日常生活に支障をきたす。

 

「じゃあ、戻ろう」

 

リトが首筋をまわりこんで逆鱗に触れる。

 

光がまた溢れ出す。

ああ、そうか、逆鱗がスイッチなのか。

 

龍神官が両脇をすかさず支えてくれなかったら、落ちていたと思います。

リト、戻すときは場所を考えようね。

 

 

神龍神殿本宮があった土地。始原の龍が封印されていた巨大な空洞。

そこに三々五々と集まった龍神官達。

まさか、俺、つるしあげをくらったりしないよね。

 

「魔王龍」

「非」

「否」

「誹」

 

「終末の龍」

「是」

「非」

「否」

 

「異界龍」

「「「是」」」

 

で、何か決まったのかな。

 

「新種だから龍の名前を決めてたのよ」

 

ニアが表面積59%ぐらいの笑顔で言う・・・おしい

 

「そうか、人身の龍だもんな。

 でもリトって名前があるんだからなあ」

 

「何いってんのよ。アンタよアンタ」

 

俺が?異世界出身の虹色の新種の龍?だから異界龍?

 

「然り」

「さらには我らが教王」

「全ての龍神官の夫であり、主である御方」

 

「「「我らに運命に抗う命を授ける御方」」」

 

ええっと。つまりはハーレムルートということでいいのかな。

 

あむ

はむ

 

甘噛みよりつよい感じで腕を噛まれる。

右腕にリト

左腕にミュウ・・・なんでミュウ?

 

ニアを見ると・・・

笑っている。何%かなんて計測できないけど、でも目が全然笑ってなくて・・・

 

だめだ、こんな状況に対応できない。

寝よ。

右腕のリトと左腕のミュウを抱きこんで、後ろに立っていた伯爵を巻き添えに倒れる俺。

100%の笑顔のニアを頭に浮かべつつ、

眠りに・・・落ちる・・・

 

 

 

 

つづく

四話へ         六話へ 
 


 

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