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宵闇ふぁみりー第六話

2009-08-05 | 23:06

宵闇ふぁみりー
-第6話-           

白い闇を抜けると視界が急に広がる。
急激な視界の広がりに目の調整機能が追いつかないのだろうか、軽い目眩を感じる。
この感覚には、何度やってもなれやしない。
碇流の退魔術には、退魔とは何の関係もない術が幾つもある。
今僕が使っている回想術もそのひとつ。
昔のことを、本人も覚えてないぐらいに正確に思い出したい時に使うと便利なんだけど…
問題もある。
近くに人が寝ていると、そちらの回想と混ざる恐れもあるし…さっきはいきなりかあさんとのラブシーンだったし…
さらに、誰かと一緒に抱き合って眠ると…

「シンジお兄様、ここってどこなんです?」

「碇流退魔術の基本は、異界の扉を開き、固定することなの。
 並行宇宙を繋ぐことも、常世を現出させることも、過去と未来と現在を見通すことも可能よ」

知らなかった、そんな凄い術だったのか。

「すごいです、シンジお兄様」

いやあ、それほどでも。そんなことやったこともないし…

「理論的に可能ということだろう。それに、そんなスーパーなシンジは好みじゃないな」

「それじゃあ、普段のシンジは好みなの?」

「ば、バカなことを」

「とにかく、碇流退魔術のうち回想術は、過去の世界への扉を開き、夢の中で固定させる術よ」

そうだったのか…

「さあ、ワタシとシンジの愛の歴史の重みを思い知って、うちのめされるがよい」

なんとなく悪役みたいだね、レイ。
もちろん、なんとなく感じただけで根拠はないんだけど…

それはともかく、抱き合って眠ると全員が夢の中に入ってしまうとは…
…戻るときはどうすりゃいいのかな。

「わからんのか?」

「簡単よ。目が覚めたらど~しても逢いたい人の名前を呼べばいいの。
 そうすればシンジは目覚め、私達も夢から醒めるわ」

「でも、逢いたい人が今、一緒にいたらどうなるんだ?」

「「そうね。ワタシ(アタシ)は、ここにいるし(いますし)」」

…困ったな。
とりあえず、知り合いの名前をかたっぱしから言うか…

…なんとなく既視感

目の前には10歳の僕が現れる。

いつのまにか回想が始まっていたみたいだ。
ただ、レイはいない。

ちいさな僕は、回想術を解こうとしているみたいだ。
いろんな娘の名前を呼んでいる。
懐かしいな小学校の時に好きだった娘達の名前だ。
…牧ちゃんの名前も呼んでるな。

「ば、ばか」

でも、目覚めないや。

「……」
「「ふっ」」

焦ってる、焦ってる。
女の子の名前も尽きて…

………
唯かああさ~ん

ちいさな僕が叫んだとたん、世界が歪む。
白い闇に捕らわれる。

闇を抜けた時、目の前には紫色の巨人の姿。

「EVA」

何で知ってるんだろう、おおきな僕。

「忘れたのか、おおきなシンジ。
 全ては過去の情景。過ぎ去った現実だ」

とうさん…

「ちいさなおまえは、亡くなった母親を求めた。
 その結果、ちいさなおまえの力が、唯一母親の残滓のある世界への扉を開くことになったのだ」

どうして…
何故とうさんが…

「私は必死にちいさなおまえの後を追った。
 だが追いつかなかった」

どうやって…
どうやってとうさんがここに…

「憑き物落としの名流、六分儀家の後継者としての力は使い果たしてしまった」

…まさか
とうさん…

「ちいさなおまえを救う方法は唯一つ。
唯の残した…禁呪とされた秘術により、異界の住人と契約を結ぶことだけだった」

嘘だと言ってよ、とうさん。

「私は碇流始祖としての力を出しつくして「
とうさん
そんなことよりどうやってここに?
まさか…おおきな僕と抱き合ってるんじゃないよね?」

「ニャリ」

「「「…まさか私達と…」」」

「にや「
ドカッツ

「かあさん」

「安心しなさい、おっきなシンジ。
 とうさんは私と抱き合ってるから」

「「「DE?」」」

「ん?」

「ママは、誰と抱き合ってるのよ?」

「おっきなシンジの暴れん棒と。
 きゃっ

ぶぉおおおおん

ゴトー・牧のモーニングスターがうなる。

びゅん

明日香の鞭がしなる。

がう

ガスッ
ビシッ
AUTCHI

噛みつこうと飛びかかったレイが全ての攻撃を受けてしまう。

「あらあらまあまあ。
 まるでリプレイみたいね」

気絶したレイの姿がぼやけて消えてしまった。

「レ、レイ」

「夢の中で気絶すれば目覚めるのが道理。
 大丈夫よ、シンジ」

立ち位置を微妙に変えるかあさん。
まるでなにかを隠すみたいな…

ひょい
さっ

ひょひょい
さっささっ

ひょ、ひょこひょこひょい
さっ、さかさかささっ

今のフェイントにかからないとは…
やるな、かあさん

「ふふん」

ひ~ひょん
「あっ」

やった。かあさんの逆をついて反転。
抜いた。


眼前にはふたりの子供。

『愛してるBE!』

小さなレイが、長葱をちいさな僕に突きつけている。
なんてことを。僕が長葱を…というか葱類全てを嫌いなとこにつけこんで。

『愛してるって言わなきゃ、あんたの主食はこれになんZO!』

オニオンリングなら食べれるんだけど…英語苦手だから。

『NA!早く言って楽になんBE!』
『…』

頑バレ、ちいさな僕。

『言ったらお医者さんごっこしてやんZO!』

『え?』

『ワタシの胸、触らしてやんZO!』

『…』

『気持ちいいZO!柔らけ~んDA!』

騙されるな、ちいさな僕。

『NA!言うBE!』

『う、うん』

『よし、婚約成立YA!!』

『あ』

ばかばか、ちいさな僕

『婚約の証に胸触らしてやんNA!』

つまりは、触らなければ婚約は不成立。
頑バレ、ちいさな僕。

『う、うん』

小さなレイがちいさな僕の手をとり、自分の胸に導く。
ちいさな僕は抵抗していない。
だめだ、触っちゃいけない。

生あったかいまな板を撫でたような感触が甦る。
…虚しかった。
そうか、だから記憶を封印したのか…

そうこうするうちに、もうすぐちいさな僕の手がまな板に届いてしまう。

だめだ、止めなきゃ。
やめろ、やめるんだ、レイ。

レ~イ~


ゴウン
ガクン



地面が抜ける。

何故?

目覚めるの?

何故?

……名前を呼んだから?



「お兄様、後でちゃんと説明してください」
「シンジ、私の活躍の話がまだ
ガキッ
ぐふっ
「あらあらまあまあ。
 気絶して先に行くなんて、せっかちな人ね」

そういえば、他にも確認したいことがあったような…

足元からの光が強くなる。
目覚めの時だ。

まあいいか。
先ずは婚約無効を宣言しなくっちゃ




                                                  つづく

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Theme : 二次創作:小説
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