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手乗り龍のしつけ方 第四話 運命の意味

2009-07-09 | 22:43

ここに掲載されている物語は完全なるフィクションであり、実在するいかなる個人、団体とも関係ありません。

 

手乗り龍のしつけ方

第四話 運命の意味

 

 

 

 

 

ここは富士山の樹海・・・なんだけどちょっとした野球場ぐらいの広さの空間があいている。

そこにたまが着陸し、俺たちが降り立った。

ここからしばらく歩いた所に神殿があり、その中で覚醒の儀を行うらしい。

もともと樹海の中で人生を終えようとしていた人が神託を受けて神殿を建立しようと企図、

それに賛同したボランティア団体(樹海の中でさ迷っていた)が建設したほったて小屋がその後に発展したものらしい。

神託では建立しろとだけ伝えてきて名乗らなかったらしいので、当初は何様を祀るのか深く考えてなかったらしい。

ほったて小屋のうえに場所が樹海のど真ん中でどうやって信者を集めるのか・・・

というか途中で遭難するだろう・・・

ということで、メジャーな宗派は食指をうごかさず、しかたがないので、龍を祀ることにしたというのが、神龍神殿本宮が成立した経緯らしい。

ちょうどメジャーな宗派と対立していた時の王家の保護を受け、

皇族のツガイの正式契約および竜とのつながりの最適化を行う覚醒の儀をここで独占的に請け負うことになって大発展を遂げたらしい。

要領の悪いニアの説明にたまが補足してくれてようやっと以上のことが判明した。

 

ということはなにか、もしかして、まだ俺とニアのツガイは仮契約なのか?

それなら、取り消しも可・・・なのか?

クーリングオフもできないのは違法だからどっかに訴えようと思っていたが。その必要もないのか・・・

「取り消しは不可だから、というか皇族のツガイになれたことを喜びこそすれ、断ったなんて、そんな前例ないわよ」

「俺がパイオニアになってやる」

「2千年にわたる皇家の歴史で初めてツガイを断られるなんてイヤよ。

 というかワタシのどこが不満か言ってみなさい」

一晩かけても足りないが・・・

「ほら見なさい、ないでしょうが」

はやっ。一言も挿めないだろうが

 

「神龍の徒は、なにも語りません。龍は伝えるべきことを言葉ではなく、美力により示します。」

「だから何よ。私の欠点をいいつのる言葉はなくても、美点を詠う詞はあるはずよ」

「言葉も詞も音律も全ては人の身の域を超えることはなく、人は壊れやすく傷みやすい存在です」

「だから何よ。そのためにツガイがあるんでしょうが」

「然り。龍の美力を身にやどし、神龍の加護を得ることに資格はないのです。

 全ては運命によって紡がれしもの」

 

いつのまにやら会話に参加してきた人達・・・巫女服で両手に包帯を巻いた人と口を革のマスクで覆った人と眼帯を両目にした人・・・

両目眼帯でこの人見えてるのかな?視線は感じるけど・・・

それにしても・・・

「運命が導けば、神龍の加護を得ることが可能というわけか?」

「気に入りませぬか」

「気に入らない。運命ではなく、俺は俺の意志で道を拓く」

 

ふふふふっ

ほほほほほ

はははははっ

「気に入りました」

「見せましょう」

「語りましょう」

 

右手、左手の包帯がほどかれる。

「私は龍爪」

マスクが外される。

「私は龍牙」

眼帯が外される。

「私は龍眼」

 

「龍神官は、必ず龍体の一部をその身に降ろします。

 全ては、我が教祖様、始原の龍を封印するためです」

「教祖様が樹海に死場所を求めて彷徨っていた時、神託を受けました」

【余の寝所を用意せよ。さすれば死にゆく運命を変え、余の眷属として栄華を極めん】

「教祖様は自分は運命により死すのではなく、自分の意志で死をとると答えました」

【フハハハハ 面白い。ならば運命を変え、不死の体を与えよう。

 余の寝所の用意をなしたら、死を授ける。見事自分の意志を貫いて見せよ】

「教祖様は、始原の龍と化し、刃も効かず、火にも水にも侵されない体となりました」

「どのようにしても死ぬことができない教祖様は神殿の建立をするしかなく、

 そしてそれはなされることとなったのです」

「いよいよ神託を果せる時にいたり、教祖様は死を恐れるようになりました」

「運命にそのまま身を委ねることを選び、神龍の徒にもそれを強制いたしました」

「多くの民にとり、運命に身を委ねることは幸運に通じます」

「運命に抗うは、我が身を焦がす道を歩むも同じ」

「神龍の徒は運命の奴隷。奴隷の幸運を選んだ者」

「そして我等龍神官は運命に抗う道を選んだ者。

 龍の身を降ろして始原の龍と闘うことを選んだ者です」

「あなたは私達を醜いとお思いか」

「いや」

本当に綺麗だと思う。なんで包帯やらマスクやら眼帯で隠すんだろう。

 

ふふふふっ

ほほほほほ

はははははっ

「隠すは神龍の徒のため。怖がらせないためです」

「あなたは教祖様と同じことをおっしゃった」

「あなたは運命に隷属するか、抗うか」

「覚醒の儀が楽しみです。あなたに龍心が宿られますように」

 

三人の龍神官が去った・・・なにしにきたんだろう、あの人達。

 

「驚きなの。龍神官が龍身を顕すのなんて初めてみたの」

ミュウか・・・どうやってたまにおいついたんだろう・・・テレポートかな?

 

「龍身を見た者は必ず亡くなってますものね」

「龍神官の怒りに触れてね。

 それにしても『龍心が宿られますように』とは気に入られたわね」

????

 

「もし、龍心、龍の心臓、龍の美力の源を降ろせたとしたら、彼女等はアンタを教王として崇めることになるわ。

 封印中の始原の龍も凌駕する力を持つことになるだろうし」

 

「それにしても、教祖様の話って本当なのか?

 お前やたまから聞いた話と全然違うというか・・・」

「本当よ。でも、ワタシでさえ知ってちゃいけないことだし、アンタに知らせていいかどうかもわかんなかったから・・・」

だから説明がしどろもどろだったのか。

 

「始原の龍と龍神官がいるからこそ、この富士山一帯は、神龍の神域として独立を保たれております」

「龍神官達は千人ほどおるようだけれど、全国の龍神殿に散っているから、軍事的な存在としてはさほど大きなものではないわ」

「でもなの」

「覚醒の儀を一手に引き受けてることとか、龍への恐れを民が持っていることとか政治的な存在として大きいのよね」

 

カシッ、ゴシッ、ガシッ

 

セリフをとられて悔しいからって俺を蹴るなミュウ。

振り上げられたミュウの足にまたリトが飛びついているが、なかなか掴めない。

 

「飯炊き女、それぐらいにおし。ワタクシは神殿で早く落ち着きたいの」

たまが伯爵の顔色をうかがいながら、神殿の方に先触れに行った。

龍神官のお姉さん方が来てたんだから、向こうも俺達の来訪に気づいてるだろうけど・・・やっぱ皇族を迎える準備を整えさせるとかで先触れが必要なのかな。

 

ふふん

ニアが鼻たかだかという感じで、ふんぞり返ってる。

ゴンッ

そして、伯爵に殴られてる。

 

ムズむず

なんか、背中がむず痒い。虫にでも刺されたのかな。

「ニア、背中かじってくれない?」

「なんでよ」

「自分だとうまくかじれないから」

「だからなんでかじる・・・まあいいか。

上着脱ぎなさいよ」

「うん?」

「そのままじゃ、かじれないでしょ」

「あ、ああ」

ぬぎぬぎ

 

「どきどき、姫様が大人への階段を上っていくのですね。」

「落っこちないように支えるの」

「大人への階段って何段ぐらいなのかしら」

「姫だとエスカレーター方式だと思うの」

「しかも進行方向逆方向のです」

「立ち止まっていると子供方向へ行ってしまうのね」

「アンタ等ね~」

 

「ニア、早く」

「まったく」

カプッ

 

「甘噛みなの」

「首筋を噛んでのしかかるのではなくて」

「雄雌逆ですね」

 

「な、なななんで噛むの?」

「アンタが言ったんでしょうが、かじれって」

「だからかじってくれればいいのに、なんで噛むんだよ」

 

「山梨の方言では、【かじる】はかゆい所を掻くという意味あいで使うらしいですわね」

「大人方向への進展なしなの」

「残念です」

「アンタ等ワタシの立場はどう・・・もう」

ガブッ

 

そんなことをしながらワイワイしていると、たまを先頭に御輿・・・みたいなのを担いだ人たちが来た。

まさかあれに乗るのか?

 

御輿はまあまあの乗り心地・・・なわけはなく、

樹木をよけるたびに体が横に振られてニアとぶつかり、

前に倒れるとキティの胸に顔が埋まり、

後ろに倒れるとミュウも巻き添えにするという具合で、超然として座っているのは伯爵だけだった。

歩いた方がよっぽどまし。

 

もういいかげん疲れたし・・・覚醒の儀にはまだ間があるようだし・・・寝ちゃおうかな。

リトを胸に抱え上げてミュウを枕にそのまま目をつぶる俺。

眠りに・・・落ちる・・・

つづく

三話へ        五話へ 

 

 

 

 

 

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