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手乗り龍のしつけ方 第十一話まかいぞーノススメ

2010-02-26 | 12:56

ここに掲載する物語は完全なるフィクションであり、実在するいかなる個人、団体とも関係ありません。

 

手乗り龍のしつけ方

第十一話 まかいぞーノススメ

 

 

 

 

 

 

これほどに怒りを覚えたのはひさしぶりだ。

俺の人生では下から12番目にランクインできるぐらいの怒りだ。

向こうの世界から持ち込んだ荷物の中に、岐阜城と五稜郭の模型があったのだが、それが作られて映世の地図の上にデンと据えられている。

模型は作る課程が楽しいのだ。その楽しみを奪われ、しかも出来映えが自分よりもいい線いっている・・・3段階ぐらい上の出来だ・・・

これは怒りを覚えていいだろう。

だが・・・楽しそうに作業しているリトと座敷わらし(仮名)を見ていると怒るに怒れない・・・

・・・作業って・・・

まさかヤマトまで・・・

作られつつあるのはヤマト、連合艦隊旗艦の大和ではなくて宇宙戦艦ヤマトの方で・・・

・・・出来がいいな・・・

でも、ヤマトのプラモは持ってきてないけどな・・・

 

「ネコマ~マ」

「きょうお~」

 

リトと座敷わらし(仮名)が俺に気づいて寄ってくる。

彼女達の陰になっていて見えなかったが、部屋の隅には大量のガンプラが積まれている。

 

「あの模型はどうしたんだい?」

 

「そうしゅきょ~がくれたのじゃ」

座敷わらし(仮名)が言ってくる。

 

「そうしゅきょ~?」

 

「お菓子とかおもちゃとかをくれるの」

リトが俺の胸に頬をこすりつけながら言う。

 

「知らない人から物をもらっちゃいけないよ」

 

「だからそうしゅきょ~なのじゃ」

 

そうか、神龍神殿の関係者かな。

結構、向こうの世界との行き来があるのかな。

 

関係ないが、いつまでも【座敷わらし(仮名)】と呼んでいるわけにもいかないよな。

今頃名前を聞くのも間抜けだが・・・

しかたがあるまい。

 

「わらわには個別の名前などないぞ。

わらわの種族はわらわ以外、全て界渡りしていなくなっているから、識別する必要がないしな」

 

座敷わらしが大挙していなくなっているのか、この世界は・・・

大丈夫かな。

座敷わらしが去った家は凋落するそうだし・・・

 

「わらわは、座敷わらしなどというものではないぞ。

神龍じゃ」

 

「・・・というと、神龍神殿のご本尊?」

 

「そうじゃ。きょうそも面白い女じゃったが、そうしゅきょ~ときょうお~はもっと面白い。

じゃから、世話になってやることにしたのじゃ。

ちょうど寝所も壊れたしの」

 

教祖さんは女性だったのですか・・・

今まで女性に手をあげたことはなかったのにな。

「神龍達は界渡りをしたのですか?」

 

いつのまにやら、伯爵が俺の背後に立っていた。

すごく興味深げで、楽しそうで、眉がハの字になっている。

 

「そうじゃ、この世界に飽いたと言って、バラバラと界渡りしていきよった。

そのお陰で、この世界は面白くなったのじゃ」

 

面白く?

何故?

 

「界渡りは存在の等価変換を起こします。

神龍ほどの存在の重さと等価といえば、国の1、2個が異界からこの世界に跳ばされることになるでしょう」

 

で・・・

 

「猫から進化したヒトの世界にも犬から進化したヒトの世界にも虎から進化したヒトの世界にも神龍は界渡りをしていき、跳ばされた土地とヒトと

動植物がこの世界に寄った。結果できたのがパッチワークのような今の世界・・・ということなのでしょう」

 

そう・・・なの・・・?

 

「そうじゃ。元々が別の世界のものじゃからな。本来は融合してなんだかわからない混沌になるか、それとも反発をしあって爆発を起こして無に帰

すかどちらかなのじゃが・・・」

 

そうなっていないのは。

 

「わらわの力の大半を使って重石をおいた。

その重石を中心に世界を結束して存在を固定したのじゃ」

 

「おそらくは富士の山がその重石ということなのでしょう。竜脈の結束点でもありますから」

 

「そうじゃ、富士の山が崩れることがあれば、竜脈が乱れて世界の結束がゆるみ、綻びる。

なにが起こるかはそうなってみないとわからんのじゃ」

 

もう一度、重石を置き直すわけにはいかんのでしょうな・・・大半の力をなくしているからには。

・・・混沌か無か・・・か・・・

今でもついていけなくなりつつあるのに、これ以上に問題が起きたらパンクするぞ、俺。

 

とにかく、映世の地図の保管をもっと厳重にいたしましょうか。

万が一にも地図上の富士山を崩されたりしないように。

 

「混沌の世界を見たいのですが、総主教のおっしゃられた魔界のような世界なのでしょうか」

 

魔改造ならともかく魔界造はやめてください。

ふ~

 

きらきらした目の伯爵をそのまま映世の地図の近くに置いときたくないので、伯爵の手を引いてガンプラの山まで連れていく。

 

どうせ興味を示すならこっちの方が救いがあると思ったのだが・・・甘かった。

 

伯爵の作成した模型はリト達よりさらに出来がよかった。

俺の出来レベルを1としたら100ぐらいの出来・・・もう比較の対象にはしていただけませんね。

 

伯爵がソロモン戦のジオラマを完成させた時には、もう驚いた。

ビグザムからドズル中将の執念が本当ににじみ出てきて、

悪鬼のような影が見えた気が・・・

その後、異常に目を煌めかせた伯爵が研究室に向って去っていった。

どんな発明品に結実するのやら・・・

ふう~

 

とにもかくにも、懸案の蔵王要塞づくりは終わりだよな。

寝るかな。

 

 

○○○○○○○○○○○○

横浜美食街土の涙停

 

 

横浜公爵は、特定の居城を持たない。彼の居場所は、その日一番の食材を手にし、その日一番の腕を振るえる料理人がいる店と決まっているから。

その日、公爵が訪れた店は貸し切りとなり、臨時執務室も兼ねることとなる。

本日は、土の涙停が横浜公の居場所だった。

この店の名物の泥水のようにしか見えない健康ドリンクを飲みながら傍らの秘書官を見上げる横浜公。

 

「それで、仙台伯が病に倒れたと」

 

「はい。そればかりか、仙台伯領内での発病者が2千人を越え、亡くなったものが1千人を越えました」

 

50%の致死率か。研究所で猛威を振るった時より高いのではないか。あの時は30%ぐらいだったろう」

 

でっぷり太った腹をゆすりながら不愉快げに顔をしかめる横浜公。どうやらデザートの杏仁豆腐がお気に召さなかったようだ。

 

「これを作ったものを放り出せ」

 

「はっ。

それでいかがいたしましょう?」

 

「新しい者を雇えばよいだろう」

 

「いえ、そうではなく」

 

「わかっておる。原因は研究所から逃げ出した病魔に間違いないのか?」

 

「病原体が研究所で暴れた病魔のものと似ております。多少変異をしているようですが、同一の物と考えてよいかと」

 

「ワクチンはどうだ」

 

100人分の備蓄がありましたが、それだけです。今からの製造では到底間に合いません」

 

100人分もあれば十分だろう。仙台伯と彼のツガイの分を送ってやれ」

 

「研究所はいかがいたしましょう」

 

「あれは仙台伯の行っている事業だ。私が口を挟むべきものではないな」

 

「はっ。失礼いたしました」

 

「よい。札幌方伯はどうだ。何か動きがあるか」

 

「船舶を集めております。それと飛竜狩りを行っているようです」

 

「船舶か・・・上陸戦でも行う気かな。

飛竜狩りの規模は?」

 

「2個中隊が投入されております」

 

「そんなに飛竜がいるのか」

 

「詳細は掴めておりません」

 

「まあよい。出頭要請は取り消す。そのかわり、仙台伯の代理で蔵王要塞を攻め落とさせろ」

 

「・・・」

 

「どうした?」

 

「いえ。札幌方伯が承知しますでしょうか。

仙台伯領では、病魔が猛威を振るっておりますし」

 

「ふん。ならおまえが行け」

 

「そんな、お許しを」

 

「まあ、いい。仙台伯が完治するぐらいまでは動きはあるまい」

代わりのデザートに目を細めながら、片手を振るって秘書官を下がらせる横浜公。彼の決裁を待っている仕事はこればかりではない。

 

現在、皇国の政務は、横浜公と名古屋公によって行われている。

横浜公が財務を中心にした内政、名古屋公が治安と外交を請け負っている。

二人の政務体制になってから大きな破綻はなく、官僚達にも評判のよい体制であった。

 

 

○○○○○○○○○○○○

富嶽要塞教王の間

 

 

なにか気配がして目をさますと傍らに妙齢の女性が二人。

俺の隣にいるニアを見ながらなにかいっている。

・・・というか何でニアが隣にいるんだ?俺一人でベッドに入ったはずなんだが。

 

「や~らしかね~」

びくん

 

「ほんなや~らしか娘ね~」

びくびくん

 

「ななななななにを証拠です?」

 

なにを証拠にいやらしいなどと決めつけるのです?

と言いたかったんだろうな。

それにしてもいやらしいのか、ニアは。

 

「いやらしくないです?」

 

いや疑問形にされてもわからないのだが。

俺とニアが知り合ってから・・・半年は経っているか・・・でも個人の性癖を知るには・・・十分な時間かな。

 

「と、とにかく証拠を見せなさい、証拠を」

 

バサッ

 

写真の束がベッドに散らばる。

【部屋を間違えた振りでそのまま俺のベッドに潜り込む所】

【俺の寝具をはぎ、着ているパジャマを脱がしている所】

【俺の寝姿(着衣ver.)】

【俺の寝姿(半裸ver.)】

【俺の寝姿(全裸ver.)】

【写真を見ながらニヤニヤしているニア】

証拠が数々・・・合成じゃないだろうな?

 

・・・硬直しているニア。

 

「証拠も出揃ったところでご紹介いたしましょう」

いつの間にか現れたキティが話し出す。

 

「こちらは佐賀騎士団総長の御令嬢でタカコ・ミィ・サカ様とスミコ・ミィ・サカ様です。

ちなみに佐賀騎士団は、猫多羅天を崇める教団の自衛組織なのですが、佐賀子爵が自領を提供して総長に治まってから巨大な組織になりまして。福岡侯爵と互角に渡り合っておられます」

 

「ということはうちの陣営ということか」

 

「正確には利害が一致しているということでしょうか」

 

「佐賀騎士団なんぞより、化け猫旅団のが通りがいいのね」

タカコさんが紹介に口を挟む。

 

化け猫?

確かにタカコさんもスミコさんも猫目に猫耳に牙ありの化け猫というには十分な美人サンだけど。

 

「ありがとね。でも、化け猫なのは戦いぶりからくるのね。

戦い方がね、騎士道とかまるで無視なのね」

 

「福岡侯爵の先手将軍に決闘を申し入れておきながら、その前日に夜襲で討ち取ったり」

 

「いやあ~」

 

ぽりぽり照れたように頭をかくタカコさん、照れるところじゃないでしょうに。

 

「襲われた娘を演じて敵将に取り入って寝首を掻いたり」

 

「あいや~」

 

頬に両手を添えていやいやするように身をよじるスミコさん。ホントにそんなことしているのか・・・で、その人達がなにしに来たのだろう?

 

「それが「いやらしくないですよ?」

 

せっかく話題が逸れていったのにわざわざ戻さなくても、ニアってば。

 

「しかたがありません。こればかりは出さないつもりでしたのに」

 

「そ、それは・・・」

 

俺の1/4フィギュアですね。しかも全裸。・・・そっくりだな。修行時につけた尻の傷まで再現されている。

 

「覚醒の儀で計られた寸法とその時の写真が流失して造られたのが寝子教王覚醒ver.

姫士隊の流通組織を介して限定666体が販売されました」

 

流失って言ってなかった?姫士隊主導で販売してるじゃないか。

 

「ある高貴な方が3セット購入され、しかも、内々に造られたシークレット教王まで2セット購入されました」

 

「あたしも持ってるのね。褌姿がや~らしかね」

 

褌って・・・締め方もしらないけど。

でも、全裸じゃないんだ。まあ、膨張までしているフィギュアを販売はしないか。

 

「これはある高貴な方が発注された魔改造ver.です。

3日前、着払で届きました所を押収しました」

 

「熾烈な争いだったの」

 

これまたいつのまにかミュウまで来ている。

 

「奪い合いで姫士隊の1/3が負傷して、術師隊のほとんどが術の使いすぎで寝込んでるの」

 

仙台伯領攻めはどうするとですか。

 

「そこで佐賀騎士団に協力を求めたのです」

 

「ちょうどこっちでイベントがあって、騎士団主力も連れてきてるのね」

 

何のイベントでしょう?

 

「報酬として魔改造の追加発注ばしてもらうのね」

 

「それはともかく、それは、さる高貴な方のものなのでしょう?」

 

ニアが口を挟む。

 

「そうです。とてもいやらしい方かと思われますね。

いやらしくない姫様とは何の関係もありません」

 

「・・・・・・」

 

唇を血がにじむまで噛むほどのことなのでしょうか。

実物の俺がいるのにな。

それにしても『やーらしか』って確か佐賀弁で可愛らしいって意味だった気がする・・・

 

「可愛いって・・・それほどでもないけど

でも、誤解とわかってよかったわ。キティ、それ寄こしなさい。

待ってたのになかなか来ないと思ってたら、貴方達で奪い合うなんて。

恥をしりなさい、恥を」

 

魔改造品に手を伸ばすニア。

 

「いやらしか娘」

「ほんなこてにいやらしかわ」

 

「もう可愛いのはわかったから」

 

今度は本当にいやらしいって言われてるんだと思うが。

まあ、いいか。

 

キティには勝てなくても、ニアにならば勝てるとばかりに姫士隊の連中が集まってきてるし、ミュウも術の詠唱準備をしてるし・・・

 

この部屋で寝るのは無理かな。ニアの寝室に行くか。

爆音と剣戟の音を後目に、教王の間を出る俺。

もう少しゆっくり寝てても大丈夫そうだな、などど思いつつベッドを目指す。

 

 

 

つづく

十話へ        十二話へ 
 

 

 

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