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手乗り龍のしつけ方第九話 男の娘色

2009-12-14 | 23:54

ここに掲載する物語は完全なるフィクションであり、実在するいかなる個人、団体とも関係ありません。

 

手乗り龍のしつけ方

第九話 男の娘色

 

 

 

 

 

好きな色は?と聞かれれば、いつも赤と答えていた。

小学生の頃の上履きは、男の子が青、女の子が赤と決められていた。

俺は、そんな男の子色、女の子色と決められるのがいやだったから、2歳下の妹が履く赤色の上履きが羨ましかった。

だから、青色の上履きを赤色で塗り変えようとしたんだ。

その結果は、紫色の上履き一つ。だれも身につけていない男の子でも女の子でもない色。

俺にはふさわしい色なのかもしれない。

見かけはまるで男らしくなっていない。呼ばれ方も寝子だし・・・でも・・・

青色は海の色、空の色。赤色は炎の色、太陽の色。

赤色は熱く、暑く、暖かい色。

だから赤が好きだった。

暖かな気持ちになるのは、うれしかった。

猫のように兄や妹とともに日溜まりでまるまって、温もりの中にいつまでも浸っていたかった。

そう、忘れていたんだ、赤は血の色でもあるということを。

 

一面の赤、その中に散らばるパーツ。まただ。

どこの情景なのだろうか、記憶にはない。

あの赤が何の赤なのか、あのパーツが誰の一部なのか。

そんなことわかりはしない。

そう、けっして、決して、結して、ワカリハシナイ。

目覚めたくない、気持ちが悪い、でも目覚めなければ・・・

もう兄妹が微睡む日溜まりはどこにもないのだから。

 

目覚めると、異様に元気のいいニアが、気合いの声というか奇声をあげながらペンを両手に書類を捌いている。

あれからずっとやっていたんだろうか。

いくら中身を読んでいないとはいえ、両手同時に別々の書類にサインするなんて器用なことを・・・ああ、動かしているのは傀儡師だったか。

糸を辿って上を見ると、両手両足に何本もの糸を絡ませて巧みにニアを操る傀儡師。

本当に匠の技だね。

視線を感じたのか、傀儡師がウィンクをしてくる。

気をそらしたせいか、ほんの少しぶれたニアの手の動きが書類を吹き飛ばす。

足下に来た書類をなにげなく取り上げると・・・

「リト」の「仙台伯爵位継承式典の警備について」か・・・どういうことだ。

例によって要領の悪いニアの説明から状況を再構成すると・・・

 

「お義姉さま、リトに仙台伯になってもらいます」

ぽよんぼいんぽよん ふー

 

「リトは人型になったまま龍型に戻れません。このままでは陰口をたたかれてつらい思いをするでしょう。

私達の役にたつことを分かりやすい形で外部に示さないと」

ぱふぱふぱふん むーふ

 

「ちょうど仙台伯の研究所で悪逆な研究が行われていることが判明しました。

十分にお家取り潰しの理由になります」」

ふるふるふるん はー 

「姫様、聞いてらっしゃいますか?」

もみもみぱゆん くー

 

「アンタ等、人の胸をいじりながらじゃないと喋れないわけ?

おまけにため息なんかついて・・・羨ましいの?

巨乳なんて肩はこるし、いいことないわよ」

 

「一生に一度でいいですから言ってみたい上から目線な台詞ですね」

どどどどどっ

「胸なんて飾りなの」

「「「「羨ましくなんかないのです」」」」

びゅおーん びしゅっ

「こら、やめ」

 

というわけで、うやむやなうちに書類がまわってきたらしい。

 

「術師隊の連中、石を投げてくるのよ。

まったく誰が部屋の片づけすると思っているのよ」

 

憤慨するところが違うんじゃないかな。

でも、よく無事だったな。

 

「アンネが全部よけてくれたから」

 

傀儡師の娘は、アンネっていうのか。視線を向けるとニヤッと笑って、ニアの手を使ってサムズアップしてくる。

どんどんニアの動きを乗っ取っていっている感じが・・・

・・・まあいいか。

 

リトの立場か・・・確かに配慮が必要だった。でも、守護竜が貴族に列せられた例があるのかな。

 

「あるはずがございません、主様」

 

「伯爵、あるはずがないとは?」

そういえば、伯爵と添い寝してたっけ。

 

「本来、龍族は、肉体的な能力も知力も魔力も他のヒト族とはケタ違いに優秀な存在です。

ただ、龍族は、繁殖能力が低く、種族の絶対数が少ないのです。

だからこそ他のヒト族が駆逐されなかったのですが。」

 

「ふん、それで?」

 

「我が皇国の祖先は、自分達より優秀な龍族を使役するための方策を編み出しました。

それがツガイの契約と守護竜の覚醒の儀です。

守護竜は、契約の力で縛りつけた結果誕生した歪んだ存在です」

 

「歪んだ存在?」

 

「本来の龍の能力の4割ほどしか発現しないのです」

 

「だから守護『竜』なわけか」

 

「じゃあ、リトは」

 

「そもそも龍型をとれないなど前例がありません」

 

本来は、自分達よりも優秀な存在だけれど、守護竜になっている限りは自分達の方が主。

なのに、それが貴族に列せられるとなれば・・・ものすごい反発がおきるだろうな・・・

何を考えているのやら、自動操縦時の俺は。

 

「貴族社会を崩壊させようとしているのかもしれません」

 

つまりは、各家の守護竜を貴族に列していって貴族は龍のみにするとか、かな?

 

「・・・なるほど、真なる龍をヒト族の制度にとりこんでしまうことにつながるかもしれません」

 

守護竜が本来の龍の姿を取り戻せて、しかも皇国の戦力を低下させずに扱いの面倒な貴族達をまとめて消せる・・・わけだ。

 

「なるほど・・・主様、ワタクシまで消し去りますの?」

 

「神龍神殿の司教位についてもらおうかな」

 

「是」

「諾」

「皇国教区司教としてお迎えいたします」

 

龍神官のお姉さま方・・・皇国教区って・・・もしかして世界宗教を目指そうとしているのかな。

 

「是」

「教祖様はおそらく世界中に散ってしまいましたので、この国で我等の歩みを止めるわけにまいりません」

 

ふん、そっちの問題もあるのか。でも、ほっとくという選択枝は・・・ないか。

 

「是」

「八つ身に分かたれた教祖様がそれぞれ元の力を取り戻してしまったら、八体の始源の龍を相手にすることになります」

 

頭が痛いね。ニアに皇位を継がせるだけでも荷が重いと思っていたのに。ふう。

 

「主様、一つ一つ片づけてまいりましょう。主様は一人ではないのですから。

私も微力を尽くしますわ」

 

「私も寝子様の支えとなりましょう」

 

伯爵、キティ

 

ガシガシガシ

 

それと無言で存在をアピールしているミュウ。

わかったから蹴らないで。

 

「出撃する術師隊が揃ったの。

閲兵式をするからキヤがれなの」

 

50名の攻術師か、今回は出番がないんじゃないんだっけ。

 

「機甲教導隊を編成しております。

運用実験も兼ねて、仙台伯領の制圧にむかわせたいと考えております」

 

ロイエンタール、徹夜明けと思えるのに異様に元気がいいな。

 

「下心が今のロイエンタールを支えているの」

 

下心か・・・いいね。艶っぽい話が俺にも欲しいな。

 

「周りは女性だらけなのに贅沢ですね、寝子様は」

 

「もしかしたら男性だらけをお望みですの、主様は」

 

まさか。

 

「男の娘望みならちょっとは応えられるの」

 

・・・ええと閲兵すればいいんだよね

 

「アンネ、私も行くからお願い」

 

歩くのも操らせる気か、まったく。

 

 

○○○○○○○○○○○○

閲兵会場

 

 

会場一面の幼女達・・・なにこれ

ミュウの話では、中に男の娘も混じっているらしいけど・・・

どれがそうなのやらまるで判らず。

それにしても、成人して戦えるレベルの術者って言っていなかったか?

 

「みんな、成人なの」

 

もしかして成人年齢が極端に低いとか?

 

「いいえ、20歳です」

 

それにしては、みんな10歳前後にしか見えない。

 

「術師の97%が女性です。

そして、女性術師のほぼ全てが初潮を迎えると当時に術力を極端に低下させます」

 

だから?

 

「クスリの力で体の成長を抑えております」

 

・・・

 

「気に入りませんか、主様」

 

・・・・・・

 

「勘違いな同情はいらないの。そんなの侮辱なの」

 

ミュウ・・・

 

「ミュウ達にも戦う理由があるの。だから体の成長を抑える、それだけなの」

 

「除隊時には、体の成長をゆっくりと促しいく処置がとられます。

結構、玉の輿率が高くて術師は人気職種なんですよ」

 

「判ったよ、ごめんミュウ」

 

「判ればいいの」

 

というとミュウも成人しているのか・・・

 

「ええ、私と同じで21歳です」

 

キティ・・・キティは27歳ぐらいだと思ってた。

姫士隊は成長促進剤でも使っているのかな。

 

「・・・単なる老け顔です」

 

俺が盛大に地雷を踏んづけているうちにニアが演台に立っていた。

その上を見ると、アンネがいた。

まだ操られているのか。

アンネが術師隊の異端というのは、初潮を迎えても術力が落ちなかったということなのかな。

 

「いいえ、クスリの効きが悪くて成長をはじめてしまったアンネは、術力を低下させました。

ただ、アンネはその低下した術力でも問題なく扱える新たな術体系を組み立てたのです」

 

そうまでする戦う理由があるということか・・・

 

ニアの演説がはじまる。

 

『諸君、忠勇なる諸君、我々には果たすべき使命がある。

この世界の秩序を再生し、美しい故郷を取り戻すために戦い、そして勝利することだ。

敵は強大であり、我々は今、劣勢に立たされている。

しかしだ、敵には大義がない。

我々は、撰ばれたる民であり、そして世界は我々によってのみ正しく導かれるのだ。

これは大義である。

諸君、撰ばれたる諸君、大義なき七竜の者共などいくらいようとそれは唯の形骸である。

あえて言おう、カスであると。

彼等無能な輩に我等の大義を示すために征き、そして勝利を手にするのだ』

 

右腕を突き上げるニア。術師隊といつのまにやら集まってきていた姫士隊の連中が皇国万歳を唱えている。

 

なんとなく、最悪なアジ演説だった。一部、どこかの誰かさんの言葉がまじっていたし・・・でもまあ、士気はあがったみたいだからよしとしようか。

 

攻撃対象は研究所と聞いていたけど、この調子だと仙台伯領そのものの奪取ということになるか。

 

札幌方伯の動きが気になるけど、今回のスピード重視の隊編成で、仙台伯領の制圧のみを目的にしておけば、札幌方伯がくる前には片づくだろう。

 

後は、蔵王要塞に兵を入れて強化しとかないと。

 

要塞づくりを再開しないとな。

 

ふう。万歳の声を後目に閲兵会場をでる俺。

そういえば、男の娘は結局、どれくらいいたのかな?

そんなことを考えながら。

 

 

つづく

八話へ        十話へ
 

 

 

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