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手乗り龍のしつけ方 第三話 見敵必殺

2009-06-13 | 10:29

ここに掲載されている物語は完全なるフィクションであり、実在するいかなる個人、団体とも関係ありません。

 

手乗り龍のしつけ方

 

第三話 見敵必殺

 

 

 

 

 

 

目が覚めたら喫茶店には・・・・・・戻れてないな・・・

ああ・・・バームクーヘン食べたい。

 

目の前には巨大なテーブルとその上に巨大な日本の立体地図・・・ここ異世界だよな。

その地図を囲んでメイドさんとミュウとニアがいて、俺も側に立っていて・・・またか

俺は自動操縦と呼んでいるが、寝惚けている時に他人に対応してくれているもう一人の俺が、また出てきてたみたいだ。

 

「俺も話に加わっていていいのか、というか早く帰りたいんだが。

成龍5体ってどこにいけば集められるんだ」

確か、界渡りには成龍5体の術力がいるんだよな。術師はミュウにたのめばいいんだし。

 

「いきなり言葉づかい変えてどうしたのよ。

 さっきまで猫かぶった可愛コぶりっこだったのに」

そう、ニアのいうとおり、もう一人の俺は、かなりおしとやかで上品なしゃべり方をしているらしい。

だからこそ【寝子】が本名だと思うやつが増加するんだが。

 

「寝子様、お目覚めですね」

 

「なによ。こいつ起きて喋ってたじゃない」

 

「世にバカな子ほどかわいいという諺がありますが」

「姫はぶっちぎりなの」

「そう、姫様は、それはそれは両陛下から可愛がられておりました」

「・・・アンタ等ね」

 

「姫様は、学校では寝惚けた寝子様と喋り、喫茶店では目覚めた寝子様と喋っていたのですが、まるで違和感はもたず、

 寝子様が学校ではほとんど寝ていることにも気付かず、男性であることにも気付かず、

 ツガイであることにも気付かないで60日を過ごしていたのです」

 

「・・・・・・ワタシがまるでバカみたいじゃない」

 

「姫なら90日はいけたはずなの」

また怒りがこみあげてきたのか俺の足を蹴ろうとするミュウ。

ミュウのふりあげた足にとびつくリト。ナイス。ミュウが慌てて足をおろした。

 

 

 

 

 

「自己紹介をいたしましょうか。私はキティ。

 姫士隊の隊長であり、世襲領国なしの男爵位をいただいております」

「ミュウはミュウ。術師隊の隊長で男爵なの」

リトを抱えてペコリと頭を下げるミュウ。

 

「ああ、よろしく矢間寝子だ・・・ってより質問に答えてくれ、すぐにでも帰りたいんだ」

 

「ワタシ、学校では寝子って猫をかぶってるんだと思ってたのよ。

 しかも、女装趣味の男だったなんて思いもしなかったし」

唐突にいいわけをはじめたニア。

 

「女装趣味じゃない。妹の服を着ないと兄さんが家の外にだしてくれないんだ。」

 

「どういう兄よ」

 

「・・・それはともかく、成龍5体がだな・・・」

 

「姫様は右に行けといわれれば、そのまま直進するお子様でした」

自己紹介の続きかな、ニアや俺の言葉を無視してメイドさん・・・もといキティが話はじめる。

でも、右行けで左に行く訳じゃないんだ。

 

「周りの者は前方に危険があるから避けろという意味で申し上げておりますから、

 左に行っていただいてもよろしいのですが」

「姫は見敵必殺なの」

見敵必戦じゃなかったっけ。

 

「姫様の場合は必殺です。ですが、殺されてしまうのが姫様の方なのが問題なのです。

 力がなくとも知略で勝つことができれば・・・」

「ぶっちぎりに可愛がられてる姫には無理なの」

ニアがしょんぼり肩をおとしている。けっこう可愛いかもしれない。

 

「そこで、姫様の剣となって敵を討つ姫士隊と姫様の盾となり御身を護る術師隊がつくられました」

「小さな国の国家予算並の出費だったの」

 

「民に負担を課すわけにまいりませんので、主に貴族方に資金を供出いただきました。

 重税を課された貴族方には当然に不満が蓄積いたします」

「そこを突かれたの」

「隣国の謀略もあったのですが、皇家につらなる大貴族が反乱を起こしたのが半年前になります」

いきなりヘビイな話が。

「どの家にもツガイがおり、守護竜がおります。それぞれ火龍、水龍、雷龍、土竜、風龍、黒龍、白龍の7体。

 この反乱が七竜の乱といわれる所以です」

 

「皇軍と反乱軍との間で4戦、大きな戦いがあったけどね・・・全敗」

ニアが肩をすくめて言う。

「私達は姫様をつれて東京の伯爵の下にまいりました。

 黄金龍を守護竜とする伯爵家は皇家に忠実で、この度の反乱に加わっておりませんでした」

じゃあ、伯爵って悪者じゃないんだ。・・・ってことは

「ワタシも悪者じゃないわよ。伯爵は意地が悪いの。

忠臣なら皇女を崇めるべきよね」

 

ツカツカツカごつん

あ~

 

なんだこの人、ごく自然に登場して、ごく自然にニアをぶんなぐった。

「女中に飯炊き女、ワタクシ達の出番はまだかしら」

「ミュウは飯炊き女ではないの」

「寝子様、こちらが皇都の東を安んじる忠臣の中の忠臣として高名な伯爵家ご当主の」

「キッスハートよ。こちらが黄金龍のたま」

ほめごろしを途中でさえぎって名乗りをあげる伯爵。

浴衣みたいな、着流しみたいな妙な和服をきた、男なのか女なのか、とりあえず美人としかいいようがない人。

隣のたまという黄金龍は・・・14歳ぐらいのみかけの男の子・・・だよな。

黄金龍なのにどこも黄金じゃない。黒髪が腰まであるし。

 

「矢間寝子です

・・・ところで、成龍5体ですが」

 

「寝子殿」

「は、はい」

 

「この地図は映世の地図と申します」

「は、はあ」

伯爵の繊手が愛おしげにテーブルの上の立体地図を撫でる。

「ワタクシのツガイ、愛しき背の君が遺したものです」

 

「すごい術師だったの。こんなのミュウにも作れないの」

確かにすごい精巧な地図だな。微妙に海岸線が違うけど。

 

「この世界では埋め立てもないし、地球温暖化もないから海岸線が違うのよ。

 だけど基本的にはこの世界と向こうの世界はとても近いの。地形や地名もほとんどそのままだし。

 それ以前に言葉もそのままで通じるでしょ」

 

「そうでなければ、姫様を界渡りさせません」

 

「映世の地図は実際の事象をそのままに写したものですから、例えば・・・」

伯爵が桜島あたりをさすと、・・・噴火してる?

 

「実際の桜島も噴火しているはずなの」

「すごい」

「すごいのは、その先なの」

 

「飯炊き女のいうとおり、この映世の地図の真価は別にあります」

 

「例えば、この地図の山を削ると実際の山も削れることになり、地図上の島をとりされば、実際の島も海に沈むことになります」

 

「七竜の軍勢がワタクシを攻撃できないのはこの地図があるからです」

そりゃ、自分の領地を沈められたら、何のための反乱かわからないし。

でもそれなら戦うまでもなく、その地図使って反乱軍の領地に災害を・・・無理だな。

 

「そうです。無辜の民を傷つけるわけにはまいりませぬ」

 

「そこで姫様を異界に流して七竜軍の目をそらし、内部分裂をはかることにいたしました。

 ついでにツガイが本当に見つかれば、それはそれでよかったですし」

「え、え」

俺ってついでか・・・怒っていいとこだよな。

 

「ちょっと聞いてないわよ」

 

「あまりに時間を置くと分裂状態で安定してしまいますので、2,3ヶ月がいいところでしょう。

 両陛下の居場所の確認ができていないそうですが、これ以上時間を置くのもまずいですね」

話の流れからして、もうお亡くなりになっていると思っていたが・・・生きてるのか。

 

「アンタね」

「両陛下は、私達が束になっても殺せる方ではありません」

「命乞いの天才なの」

「自分がこの世で一番の血も涙もない悪人に思えてきちゃうからいやなのよね」

だから忠臣してるのか、この人。

 

「幸いなことにツガイを得た姫様がご帰還され、皇軍を率いるということで話を進めますが、ひとつ重要なことがあります」

そう、俺を元の世界に戻すということが・・・

「手乗り龍のリト様を覚醒させねばなりません」

「このままだと、龍の加護が受けられないの」

 

リトがキョトンとしている。それはそうだろう。いくら龍だって、生まれたばかりのこいつに何が期待できるんだ。

加護って言ったって・・・あいつをか?

ニアを見ると、やけにはりきっていて、伯爵にうっとうしがられてる。・・・あっ、また殴られた。

 

涙を滲ませたニアが例によって寝ようとしていた俺の耳をひっぱる。

「覚醒の儀を行なうからアンタも来なさい」

 

もうひとりの俺にまかせようかな。

キュイキュウ~

リトが決意の(?)声を上げている。

まあ、もうちょっと付き合うか。

 

ニアが先頭をきって勢いよく部屋を飛び出していく。

「姫様、右に行ってください」

「姫は今日もぶっちぎりなの」

 

 

 

本当に右いけで、まっすぐいくんだなコイツ。

たまの背中の上で気絶しているニアの頬をつつく。

 

ニアが直進して開いていた窓から外に飛び出し、あぶない所を龍形になった黄金龍のたまに救われたというのが現状です。

誰に説明しているんだか、俺。

そのまま、たまに覚醒の儀の場所までつれていってもらうことにした俺達。

さて、もう少しかかるそうだから寝よ。

リトとニアの真ん中に倒れこむ俺。

眠りに・・・落ちる・・・

 

 

 

                                       

つづく

二話へ        四話へ 

 

 

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